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宿屋めぐり

宿屋めぐり
価格:¥ 1,995もっと安いお店をチェック
発送:通常24時間以内に発送
発売日:2008-08-07
ランキング:11472
おすすめ度:4.5 | レビュー数:5
おすすめ度:4「告白」には及ばないが・・・
名作「告白」にはおよばないと思いますが、町田康しか書けない、ぶっ飛んだ世界を展開してくれます。 年を経るに従い、物語の世界が深化してきているのは素晴らしいのですが、笑いの要素が少なくなってきているのは、ちょっとさみしい感じもしますね。
おすすめ度:3次回作に期待
町田康の作品は大好きでほぼ全部読みましたが、これはどちらかと言えば失敗作という印象です。町田節が炸裂していて面白い部分もあるものの、全体としては散漫な印象を免れず、また町田氏自身の自我が前面に出過ぎているような気がして、小説としては出来が悪いように感じました。「告白」がよかっただけにかなり期待して読んだのですが、わたし的にはハズレでした。どこかで町田氏ご本人が、「小説を書くときは一作に集中しないとだめ」とおっしゃっていましたが、これがそのだめな例かな?と思いました。もしくは時間をかけすぎて収拾がつかなくなったのかも知れませんが。ほかの町田作品を読んだことのない方にはお勧めしません。
おすすめ度:5「告白」が好きな人は読むべし!
主人公は徹底的にダメな人です。 人を騙し騙されて、調子にのるとやりたい放題。 で、思い通りにいかないことには必ず誰かのせいにして言い訳をし、自分の悪行を正当化しようとするとこなんかサイテーのクズ。 クズクズバカバカ思いながら読んでたんだけど、 でも、うまくいかないことを社会や他人のせいにしたりすることって誰にでもあるし、 そんな自分に気づいちゃうと主人公の心の葛藤も主の言葉も一つ一つが胸にしみて、言い当てられたようなバツの悪い感じもある。 ふざけた話のように思えるけど、たまにズシンとくることが書いてあります。 こういうふうにとんでもない展開のおふざけの皮をかぶせて、 人の生きる道の確信的なとこをついてくるなんて町田康にしかできない技だ。 終盤は「生きるとは」「自分とは」と人生の本質とは何かを訴えかけるようなずっしりとした重みのある、芯のしっかりした作品でした。 久々に寝食がおごそかになるほど読み応えのある本に出会ったような気がします。
おすすめ度:5〈寓話〉としての「宿屋めぐり」――〈自分〉探しの旅
以下、感じたこと、考えたことを脈絡なく書きたい。 主人公である鋤名彦名は、偽名を用いては、嘘に嘘の上塗りを繰り返す。太宰の短篇「誰」によれば、名前が多ければ多いほど、大悪党であるそうだ。この説にしたがえば、鋤名彦名は、大悪党であるらしい。 町田さんは、〈自分〉を〈自分〉たらしめているもの、自己を証明するものとは、いったい、なんであるか、ということをこの作品の中で問うているように、自分には見受けられた。 一般的には、たとえば、指紋やDNAなんかを、ある人をその人たらしめる決定的な証拠としているようである。しかし、芥川龍之介の小説「河童」の一節にあるように、たとえそれが同一人物であっても、たとえば、その人が独身者であったときと、妻帯者となったときとでは、彼の存在意義と言うべきか、彼が問われている役割は異なるのではないか。つまり、科学的に彼が彼であることを証拠立てるのは不可能であり、科学的に不可能である以上、彼を彼であると証拠立てるのは不可能なのではないか。 〈自分〉を〈自分〉たらしめている根源とは何であるのか。それは、不滅の魂なのだろうか。魂は、人の体を宿として、宿から宿へと経巡っていく。では、魂は、何を求めてさまようのか。宿?宿命と言い、宿業、と言う。肉体に魂が宿ってこその命、ということか。魂が肉体に宿すのは、前世からの業、ということか。業、カルマ、カラマーゾフ、キリスト、救い、…… 鋤名彦名の主、彼の発する言葉は、イエス・キリストのそれと似通い、彼の行動は、旧約聖書の神のように恐ろしく、いや、どころか、その残虐性はやくざそのもの。彼は自身を諦めたもの、と言いい、鋤名彦名を諦めないもの、と呼んだ。前者は完成されたもの(あるいは、死んでしまったもの)であり、後者は未完成であるもの(あるいは、生き続けるもの)ではないか。 以上、思いついたことを書いた。〈自分〉とはいったい、誰なのか、とことん突き詰めて考えたい人に、おすすめの一冊だ。 附記。町田さんは、太宰治「人間失格」の一場面を意識していた可能性がある。「人間失格」で、葉蔵と堀木とがをして遊ぶ場面だ。 (前略)/「君には、罪というものが、まるで興味ないらしいね」/「そりゃそうさ、お前のように、罪人では無いんだから。おれは道楽はしても、女を死なせたり、女から金を巻き上げたりなんかはしねえよ」(後略/引用は、青空文庫による) 葉蔵にとって、とは彼自身と切っても切り離せない概念であり、堀木にとっては、他所事のそれだった。このように、を通して、その人がどんなことに心をとらわれているかを知ることが出来るらしい。町田さんは本作「宿屋めぐり」において、をにメタモルフォーゼし、登場させたのではないか。を終えた鋤名彦名は分析を始める。 男がごく自然にすらすらと世界にある物の名を口にするのに比して俺はつまりにつまったあげく、この世にまったくないものや概念としてしか存在しない言葉をようよう口にするのであった。若い男の目は澄んでいた。(後略) しか搾り出せない鋤名彦名の心の荒廃ぶりを、巧みに表現した一節である、と言えるだろう。がのは、心の清さの現われだろう。聖書の言葉を借りれば、目は体の明かりであり、目が暗ければ、心も暗いのである。
おすすめ度:5文学の勝利
「パンク侍」→「告白」→「宿屋めぐり」と、魂への洞察力はより深く、今までに増してよりグダグダの町田節から時折放たれる真実真正の言葉は今までに増してより鋭さを増し、読了後は心にズシリと相当の手ごたえを感じること間違いなし。 「パンク侍」では、斜に構え偽をなす主人公、「告白」では、ある種の無垢さから運命に翻弄される主人公を見事に描き切りました。そして今作では「主」に怖れをなし忠義を図りながらも、その真意を汲み取ろうとするあまり自分を見失う主人公が登場します。人生とは、生きるとはどういうことなのか。最後には、作者ははっきりと一つの結論を「主」の口より語らせています。しかしそれをどう解釈するか、それはまさにこの602ページの物語を読んだあなたの人生そのものにより大きく異なるものとなるでしょう。主人公が「主」に試されるが如く、読者は作者に試されることになるでしょう。 僕はこの物語を、これから何年かおきに繰り返し読むことになると思います。傑作!
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