
何だかオチャラけた解説
真面目そうなタイトルだが、内容はスポーツ紙かネットの書き込みのレベル。
図書館で調べた戦前・戦中の(主として)地方紙の記事の抜粋に、チャラけた文体の解説を加えたもの。学術的な資料や考察は皆無。確かに笑えてくるような非道い犯罪の記事をよく集めているが、この著者には基本的なレファレンス(出典指示)の知識がないのか、或いは意図的に無視しているのか、記事の抜粋も恣意的で、新聞名や日付、頁の表示が全く無い。要するに戦前を美化する「知識人・文化人」の言論・風潮に対するルサンチマン(不満)の捌け口を求めただけなのか?
「戦前の方がひどい少年犯罪が多かった」と言いたいようだが、巻末のデータを見ると戦後の一時期(昭和20〜40年代)の方が殺人・強姦・強盗はずっと多い。
2・26事件が何故この本で扱われるのかは不明だが、その解釈には結構笑えた。

戦前戦中美化説の崩壊…。
最近のニュースを見ていて今の子供は本当に凶悪になったと嘆いていた一女性です…。
ですが本書を読んで驚きの一語に尽き心底驚愕致しました!
こんなに当時、未成年しかも若年(いわゆる子供)の事件が多発していたなんて!
とにかく本書の内容は戦前戦中の子供の凶悪事件の網羅、羅列です。
それに一件の事件についての著者のコメントが詳細でわかりやすく良いです。
それから文中にコラムが8項目あるのですがこちらはとても楽しく拝読致しました。
特にコラム1の素敵な名前の不良たちには笑ってしまいました。
抜粋『浅草で女給をやっていた美少女・夜嵐お節19が団長、踊り子・隼のお静20
が副団長、朧夜お鳶18、文学お柳19、男装の女運転手・スピード金太20
の女五人と男三人の不良グループ【夜嵐団】が捕まった。銀座、新宿などで
窃盗、詐欺、脅迫を働いていた』
当時の読売新聞には一同がずらっとそろってポーズを決めた写真が載っているそうです。
なんかこれって昭和50年代半ばに流行った暴走族みたいに感じました。
当時を知る昭和一桁以前の生まれの方々…
今の子は…と嘆く前に【真実を思い出して】と言いたくなります。
それから国立国会図書館にこもって古い新聞を読みあさっている著者にも
『真実を教えてくれてありがとう。』とエールを送りたいです!

新聞記事を集めたデータベース
戦前の少年犯罪を新聞記事から集めた調査作業は立派ですが、
事件に対する筆者の感想が繰り返されるだけで、
当時の政治や経済状況などを踏まえた研究はなされていないように感じる。
そのためか、新聞記事からの引用の繰り返しに飽きてしまう。
これだけの資料を集めた点は評価できるが、
現代の若者が図書館で集めた調査結果を発表したものという印象。

ワハハハハ・・・
「昔はよかった」「こんなひどい少年犯罪は昔なかった」
なんていう言葉を漫然と「そうなんだろうな」と
聞き流していたけど
この本はそういう根拠のないキマリ文句を
アッサリ、ばっさり否定して痛快。
思わず笑い出しちゃうほどの
あまりにもあんまりなヒド過ぎる事件の羅列。
でも昔の話だからか
グロすぎて気分悪くなったりはしない。
歴史の本みたいな気になってるからだろうか?
昔の不良のネーミングに爆笑!
男装の女運転手「スピード金太」って・・・
猫団団長「2代目白猫」って・・・
ヒーヒー言って笑っちゃいましたワ。
笑える本は少ない。希少です。
ただ軍隊の章はやっぱり笑えなくて
なんかふざけられるとイヤな気になってしまった。
兵隊の暴走や傍若無人ぶりなんか笑えんわ。
もっと本当の惨酷を連想しちゃって不快。
その章以外は面白くて意外性もいっぱいで
とっても楽しめました。

評判になるだけのことはある良書
一部の書評で「書き方が挑発的すぎ」だの、「嫌味」だのと批判されていたが、読んでみるといわれるような喧嘩腰ではなく「ユーモア」や「ウィット」の類だと感じた。この程度で批判されるのであれば、どれだけオブラートに包めば認めてもらえるのかと逆に問いただしたくなる。
特に読めば誰でも衝撃を受ける新聞記事による事実を軸にした構成によって、逆に鮮やかに浮かび上がる現代の言論人の無責任な言動を考慮すれば、これ位の書き方でなければ内容に釣り合わないのではないか、とさえ感じるくらいだ。
「作られた伝統」だの「歴史の書替え」だのは、遠い昔の出来事ではない。リアルタイムで今、この日本において毎日のように行われている。しかもそうした行為に関与している人たちにすらその自覚がない。まさに目を覆いたくなる状況である。
本書は少年犯罪に的を絞っているが、他にも2・26事件や体罰をめぐる考察などを含み、現代人が陥りがちな紋切り型の戦前観を見事に解体してくれるだけの説得力のある良書である。