
A Hard Act to Follow
1987年イギリスのテムズが制作したエミー賞受賞ドキュメンタリー。
内容は、幼少時代〜『海底王』での成功、最初の結婚〜MGM入社、MGM解雇〜晩年の復活、の三部構成。
このドキュメンタリーがすぐれているのは、キートンの人物像について妙な"心理学的分析"を一切加えていないこと。よくある「悲劇のピエロ」像を完璧に無視して(なぜならキートン自身がそれを何度も否定しているから)その人生を淡々と、敬意と愛情をこめてつづっている。
『海底王』や『大列車追跡』等の代表作の詳細なメイキングとなっているのも面白い。制作中のキートンをとらえた写真や映像はファンには垂涎。しかもそれらをキートン自身の解説をまじえて見られるぜいたく。
伝記的な内容自体はファンには目新しくないが、晩年のTV出演やCM、アマチュアカメラマンがとらえた「素顔」のキートンなどきわめて貴重な映像が収録されている。彼の人生と作品を知るきっかけとしてキートン初心者にもぜひおすすめしたい。
苦難をのりこえ年をとり、お腹の出たおじいさんになっても、キートンは生涯キートンでありつづけた。そのもっとも美しい喜劇役者の顔は、生涯変わらなかったのだ。
日本でも「ハードアクトに賭けた生涯」の題でVHSとLD発売されていたが、現在は入手困難。再生可能デッキをお持ちなら購入をおすすめします。